耐用年数が30年ではない

本当はもっと長く木造住宅に住める

木造住宅の資材

一般的な木造住宅の寿命が30年という話の真偽は・・・

実はこの良く聞く30年という年数は寿命ではありません。 では何が30年なのか、それは建てられてから取り壊されるまでの平均年月であり、取り壊しの理由にはもう住めないほど老朽化しているから、という以外の物も多数含まれているのです。 まだ十年以上はリフォームすれば暮らすことができそうだけれどこの土地にはマンションを建てたいから今ある木造のこの建物は壊してしまおうか、といったケースでの年数も計算に入っているのです。 ですから決して築30年で寿命が訪れるのではなく、またまだ現役だけれど事情があって30年ほどで取り壊されることが多いというのが正解でしょう。 発展している都市なんかだと昔はたくさんあった木造住宅を取り壊して、商業ビルや大型施設を建設する流れが強く働きます。 開発の進んでいない地域でしたら昔ながらの街並みに似合う木造住宅を壊す理由もそんなにないのですが、そうではないエリアだと寿命前になんらかの建造物や施設に建て替えることも少なくはありません。 まだ人が住めるのにもったいない、という思いもあるでしょうが宅地としてその土地を使うよりも他の事に有効活用できるのなら選択肢としてはありなのです。 そこには個人的な思惑だけではなく、地域全体のことを考えて下される判断も高い割合であるのではないでしょうか。 駅前に木造のアパートを所有しているけどこの町の発展のためにはそこにデパートやコンビニ、立ち食い蕎麦屋なんかがあったほうがいいかもしれないと考えて、もう5年は住めそうだけれど取り壊しを決心されたオーナーもきっといたでしょう。 また同じく駅前で木造の店舗で長年靴屋さんを営んでいる方の中にも、「もう私の時代は終わったのかもしれない、ここじゃ靴売れないし。立派な建物に建て替えてキャバクラや飲み屋でも始めたほうが儲かりそうだよね」とまだ10年は崩れなさそうな味のある店舗を取り壊す靴屋さんもあったでしょう。 まだまだ使用に耐えられるとしても、立地によっては寿命よりもはるかに早く取り壊される木造住宅は日本各地にあったのです。 その結果木造住宅は寿命が30年と言われるようになってしまったのですが、これは木にとっていささか不本意なことでしょう。 きちんとメンテナンスをして大切に使っていれば40年、50年と人間の生活を支えることができるのに、悪意すら感じられる算出方法で出された寿命を当然のように話題にされてはたまったものではありません。 正しい木造住宅の耐用年数は幅がありますが、30年からその倍程の70年という説が有力となっているので、少し甘めに見て約52年といったところでしょう。 これはコンクリートをふんだんに使っている建造物と比べても劣る数字ではなく、ひけを取らない立派な年月であるとさえいえます。 鉄筋コンクリートの建造物だと40年から90年が耐用年数とされていますから勝ち目はかなり薄くなりますが、普通の鉄筋構造の住宅だと耐用年数は30年から60年が目安になっているので、ほぼ互角の勝負ができそうです。 この性能は別に不思議なことでもなんでもなく、木の良さを知っている人なら何一つ驚くことはないはずです。 実際に日本の住宅にはいまだに木造が多いことが注目されていますし、本当に寿命が30年だったらこんなことにはなっていないでしょう。 なので建築家や設計事務所など専門家に確認するまでもなく、木造住宅は耐用年数が短いという話はデマだということがわかってもらえるでしょうか。 柔らかくて温かみを感じさせる分耐久力で劣りそうな木材ですが、実際には鉄筋にも負けないほどの寿命を持っているのです。 なので木造住宅での生活に憧れている方は、安心して木目の多い建物をゲットする方向で話を進めてくださっても大丈夫なのです。